紙の海にぞ溺るる

或は、分け入つても分け入つても本の山

マドテン

蹴球明けの寒空

4年に一度のスポーツの祭典で日本中が湧きたっている中、いっさい興味のない私は先だって復刻されたばかりの漫画を読みふけっていた。 それはそれとして、さすがに12月ともなると寒く、古書会館前の吹きっさらしで棒立ちして耐えるだけの体力もないので、マ…

発見、二往復

残暑はさして厳しい感じがしないが、これはピーク時に35度を軽く超えていたのに精神が慣れただけのことだろうか。暑いと言えば暑いが、唸るほどではない。しかし9時20分くらいにマドテン会場へ赴くと、列はいつもより心持ち短いようであった。顔なじみのオジ…

私小説一本釣り

マドテンである。あまり気合を入れてならぶ感じもしなかったので、9時半ごろゆったりと列に加わる。30人ほどか、最近の傾向からすると少なめの印象であった。 例によってアキツへ走る。どうもピンとこないが、あまり見ない鶴書房の童話などを抱えつつ右へ左…

資料漁り周遊

古本を山と買いだして丸5年くらいになるが、これまでは結句蒐集癖によるもので実用のために購ったことはほとんどなかった。それがここにきて、資料を集める必要が出て来てしまった。仕事というほど大層なものではないにせよ、古書展に足繁く通わなくてはなら…

埋め草の古書展

1年前あたりのマドテンがすでに懐かしい。申し訳ないことではあるが、もう長いことこの古書展でハッスルしていないような気がする。 アキツが不在というのがまず大きく、近代文学の量が半減してしまったのは痛恨で、更に蝙蝠の時折見せるフィーバー状態も拝…

年始の注文品、数題

更新頻度がかなり落ちてしまったが、本を買う速度は徹底的に加速している。2020年中に購入した冊数は1057冊となり、過去最高数を記録した。平均額が714円、中央値が110円であることからわかる通り、いい本をしっかりした値段で買うというよりも、安物ばかり…

2包みの本と二笑亭

ふと思い立って検索してみたら、練馬区立美術館で開催の「式場隆三郎展」の会期が終わりかけていると分かった。ゆめゆめ見逃せぬ展示とはわかっていながら、足を運ぶのが億劫でここまで先延ばしにしてしまった己の怠惰を嘆きつつ、それでもマドテンの1日目に…

空振り、豪雨

うっかり休みを取り忘れたマドテン当日。ふと、休日でなくとも、早めに切り上げさえすれば仕事と仕事の合間を縫って神保町詣でが叶うのではないかと思い立った。ただでさえ下賤の身の上では日々のストレス甚だしく、古本で少しでも癒しておこうという算段で…

思いがけず探求書を

マドテンに朝から並ぶのは実に久々である。特選を抜きにすると半年以上の無沙汰ではないか。とはいえ、池袋でも随分買ったことだし、焦らず悠然たる足取りで9時40分すぎに列に加わる。ギリギリ最下層の最後尾からのスタート。 まずはいつものとおりにアキツ…

タイミングで幸運を掴む

マドテンである。 が、来週にはシュミテンも控えているし、今月はちょっと余裕もないため、思い切って初日に並ぶのはやめにした。下等遊民としては失格の烙印を押されてもゆめゆめ文句は言えぬ体たらくだ。 で、2日目の11時くらいに悠然と会場入りしたのであ…

笙印の旧蔵書

実に忙しい1週間を過ごした。 元より規則正しい生活など望むべくもない、下等なる遊民生活を送っているとはいえ、ここ数日はうまく眠る時間を確保できぬ日が続き、満身創痍の体であった。 それでもマドテンに行かない選択肢をとれば、後から省みて激しく後悔…

悩み悩んで

春とは思えぬ凍てつきを見せている東京だが、桜は辛うじてその花弁を支えているようだ。葉桜まじりになりながらも、三段染めみたような輝く色彩は、満開のそれとはまた違った見どころがあるように思う。 なんて風流人ぶってみたが、実のところ朝からの寒さに…

リハビリがてら大物

ずいぶん久しぶりの神保町という心持である。前回のシュミテンに訪わず見送ったところ、今日も今日とて朝から並ぼうという気が起こらなかった。考えてみれば、この寒い中、待機時間はオジサンたちの列に加わって立ち続け、開場してはもみくちゃにされながら…

気が乗らなかった日

書架らしい書架を持たずに蒐集を開始してしまったため、ほとんど本を置くところがないまま漁書に励んでいる。本のためを思えば、むろん好ましい状況ではないし、精神的に参ってしまう環境でもある。 そんなわけで、いよいよ生活空間が逼迫していたからだろう…

マドテン

雨で出足が鈍いかと期待していったのだが、そんなことはなかった。涼しいというから少ししっかり目な格好をしていったのも裏目に出、会場はひとが多いのもあって汗を滴らせることとなってしまった。 シュミテンではないから、という理由がどこまでの漁書家に…