紙の海にぞ溺るる

或は、分け入つても分け入つても本の山

古書展

最後のシュミテン

4月から生活のリズムが大幅に変わるのに際して、古書展の初日にならぶのは当面できなくなりそうなので、心境としては最後のシュミテンであった。9時半ごろ列に加わるが、ふだんより人はすくなめな印象。20番くらいであろうか。ほぼ10時ジャストに扉が開き、…

安売りビンテージ

夏以来の高円寺である。もうそんなに日が経ってしまったのかという感じもありつつ、西部古書会館のブックラボへ。 到着は9時半くらいだったろうか。まだガレージ部分は解放されておらず、ゲート越しに虎視眈々と本を伺っている先客が犇めいていた。外台も買…

蹴球明けの寒空

4年に一度のスポーツの祭典で日本中が湧きたっている中、いっさい興味のない私は先だって復刻されたばかりの漫画を読みふけっていた。 それはそれとして、さすがに12月ともなると寒く、古書会館前の吹きっさらしで棒立ちして耐えるだけの体力もないので、マ…

安く漁る

今年最後のシュミテンである。9時20分くらいに到着し、先輩方としばし閑談。心持ち人数は少ないかと思ったが、10時直前になってどんどん伸びたから全部で50人から60人くらいがならんでいたろうか。残念ながら検温して荷物を預け次第の入場となっていたので順…

3年ぶりのお祭り

3年ぶりだという神田古本まつり、もうそんなに期間が空いてしまったのか、と気が遠くなる思いである。流行感冒はこうも容易く文化的活動を奪い取ってしまうのか。個人的に、この1年ばかりは速かったような濃密だったような、複雑な感じがする。古本における…

書誌を拾う

休みを取らずとも仕事の合間に行けると気づいて久しい古書展初日だが、やはり2週続けてとなると体力的に厳しいものがある。日差しの強い中でならぶのも身に応えたし、特に今日など目の調子が悪く、見開いて棚を見てゆくのが大変に辛かった。 だからというと…

発見、二往復

残暑はさして厳しい感じがしないが、これはピーク時に35度を軽く超えていたのに精神が慣れただけのことだろうか。暑いと言えば暑いが、唸るほどではない。しかし9時20分くらいにマドテン会場へ赴くと、列はいつもより心持ち短いようであった。顔なじみのオジ…

猛暑の負け戦

台風が過ぎ、その影響なのか単に温暖化が進んでいるのかわからないが、本日も予報では35度の猛暑となっていた。ならば近年は長蛇の列が伸びることでおなじみの池袋三省堂の古本まつりも、あるいは「密」ならぬ「疎」が期待できようとゆっくり会場に向かった…

立ち上げ高円寺

西部古書会館はそちら方面での用事ついでに覗くていどで、朝から詰め掛けたことはこれまでに一度もなかった。神保町や五反田と違って、近代文学のしっかりしたところがあるというよりは、雑本の山から掘り出し物を漁っていくという感じが、ある程度の共通認…

梅雨の戻り

梅雨入りした実感もないまま梅雨明け宣言が出されて久しいが、東京は雨が続くようになった。35度とかいう狂った気温でないだけずいぶんマシではあるものの、古書展へ赴く身としては水濡れは絶対に避けなくてはいけないので心中穏やかでない。 で、雨だから人…

真夏日、神田から上野へ

都内の気温は30度をようよう超えだし、梅雨入りとはなんだったのかと訝るほどの好天であった。雨が降らないのは実にありがたいことであるが、暑いのは外出が億劫になって弱る。それでも気合を入れて外出を決め込み、ひとまずは神保町へ。滅多にゆかないグロ…

私小説一本釣り

マドテンである。あまり気合を入れてならぶ感じもしなかったので、9時半ごろゆったりと列に加わる。30人ほどか、最近の傾向からすると少なめの印象であった。 例によってアキツへ走る。どうもピンとこないが、あまり見ない鶴書房の童話などを抱えつつ右へ左…

粘り一戦

少し早めに神保町入りしたシュミテンであったが、9時前の段階ですでに15人は並んでいた。先輩方もいらしたのを幸いに、閑談しつつ開場を待つ。夏日の予報であったがこのくらいならまだ陽気としてはちょうどよいくらいか。 10時ジャストにオープンするやフソ…

資料漁り周遊

古本を山と買いだして丸5年くらいになるが、これまでは結句蒐集癖によるもので実用のために購ったことはほとんどなかった。それがここにきて、資料を集める必要が出て来てしまった。仕事というほど大層なものではないにせよ、古書展に足繁く通わなくてはなら…

雨の復帰戦

春めいた気候となり花粉も吹き荒れ出したかと思いきや、一転して寒の戻りが訪れた一日であった。久々に朝イチでシュミテンに並ぶことにしたのだが、折悪しく東京は雨模様。並ぶのは6月以来だろうか。無沙汰で気合が入ったわけでもないが、8:40くらいに到着す…

池袋へすごすごと、荷風を買う

池袋三省堂での古本まつりは年に2回開催だったか。ともあれあの吹きっさらしの寒さの中を朝9時とかに並ぶ気力もなく、初日でなければ意味など皆無であろうと思われたが、都心へ出る用事ついでに冷かしのつもりで覗いて来た。 ①高見順『描写のうしろに寝てゐ…

空腹の彷徨

金がない。私個人の事情をここに書いても詮無いのは言うまでもないが、金欠に拍車がかかっている今、本来ならば古本を購っている場合ではない。けれどもそこは腐ってもマニヤ、本を買わないことには精神の安寧が図れないのである。そうなれば削るは生活費と…

凪のシュミテン

興味がなくなったかというと全くそうでもないのだが、ともかく古書展の初日に朝から列に加わろうという気概は、ここ半年くらいで完全に消え失せてしまった。ならばせめて初日の午後からでも足を運べばよさそうなものを、どうにも興が乗らずに2日目も昼頃にな…

なまくら刀

随分と久々にシュミテンへ足を運んだ。記憶では9月と5月は開催がなく。7月は行かなかったから、3月いらいとあってはなんと8か月ぶりのシュミテンである。といっても2日目の参戦であったから正直言うと大して買う心づもりはなかったが、豈図らんや、良品がま…

埋め草の古書展

1年前あたりのマドテンがすでに懐かしい。申し訳ないことではあるが、もう長いことこの古書展でハッスルしていないような気がする。 アキツが不在というのがまず大きく、近代文学の量が半減してしまったのは痛恨で、更に蝙蝠の時折見せるフィーバー状態も拝…

宣言下の大収穫

ナントカ宣言はまもなく解除と相成るらしいが、これが奏功するかと言うとあまり効果は期待できないし、そも宣言じたい、慣れきってしまった日本人にとってみればちょっとしたお小言に過ぎないのではないかという気もする。 そんな中にあって久々のシュミテン…

池袋で雪岱を買う

久々の古書展という心持である。西部や南部ではちょこちょこ開催されているらしいのだが、わざわざ足を運ぶ暇もモチベーションもなく、シュミテンとマドテンが中止となったために、今年に入ってから古書展の朝に並んだのはこの日が初であった。 しかし10時開…

年始の注文品、数題

更新頻度がかなり落ちてしまったが、本を買う速度は徹底的に加速している。2020年中に購入した冊数は1057冊となり、過去最高数を記録した。平均額が714円、中央値が110円であることからわかる通り、いい本をしっかりした値段で買うというよりも、安物ばかり…

2包みの本と二笑亭

ふと思い立って検索してみたら、練馬区立美術館で開催の「式場隆三郎展」の会期が終わりかけていると分かった。ゆめゆめ見逃せぬ展示とはわかっていながら、足を運ぶのが億劫でここまで先延ばしにしてしまった己の怠惰を嘆きつつ、それでもマドテンの1日目に…

なおも2日目の収穫

シュミテンでは買いに買った。コレクターの先輩方や某通信編集長などにも「買うねぇ」と声をかけられつつ帰ったのだが、それはそれとしてフソウ事務所にも定期的に伺いたいというものである。 本を買うため、というよりも、サロン的な事務所に訪い、諸先輩方…

暖冬の明治本まつり

東京での感冒罹患者が増えに増えているなか、界隈ではシュミテンの開催が危ぶまれていた。この半年超の流れを見ていると、数日まえに急遽中止が決定、というのも決してありえない話ではないのである。 懸念を抱きつつも神保町へ赴くと、9時前だというのにす…

シュミテンに喉の渇きを癒す

感冒下にあって2度目のシュミテンである。先週の例に倣い、休みを取らずに睡眠不足の体に鞭打って神保町へ向かう。早めに行って9時くらいに整理券を受け取ろうと思ったのだが、列が伸びるばかりでなかなか扉は開かなかった。前回ので効果がイマイチだったか…

空振り、豪雨

うっかり休みを取り忘れたマドテン当日。ふと、休日でなくとも、早めに切り上げさえすれば仕事と仕事の合間を縫って神保町詣でが叶うのではないかと思い立った。ただでさえ下賤の身の上では日々のストレス甚だしく、古本で少しでも癒しておこうという算段で…

西武を目指し西口へ出る

池袋駅周辺の地理は非常にわかりづらく、とりわけ東口に西部、西口に東武があることは土地勘のない人間にとって非常に難度の高い配置とおなじみである。 稀代の方向音痴である私だが、上記の知識は頭にあったので、これまでに出口を間違えたことはなかった。…

ミシン目のついた整理券

前回のシュミテンはギリギリの開催であった。あの直後にナントカ宣言が発令され、古書展はおろか、業者市まで中止と相成ってしまったのは、コレクターにとって悲痛以外の何物でもなかった。 あれから数か月を経て、都内の状況は再びあの頃に逆戻りの様相を呈…