少し早めに神保町入りしたシュミテンであったが、9時前の段階ですでに15人は並んでいた。先輩方もいらしたのを幸いに、閑談しつつ開場を待つ。夏日の予報であったがこのくらいならまだ陽気としてはちょうどよいくらいか。 10時ジャストにオープンするやフソ…
古本を山と買いだして丸5年くらいになるが、これまでは結句蒐集癖によるもので実用のために購ったことはほとんどなかった。それがここにきて、資料を集める必要が出て来てしまった。仕事というほど大層なものではないにせよ、古書展に足繁く通わなくてはなら…
春めいた気候となり花粉も吹き荒れ出したかと思いきや、一転して寒の戻りが訪れた一日であった。久々に朝イチでシュミテンに並ぶことにしたのだが、折悪しく東京は雨模様。並ぶのは6月以来だろうか。無沙汰で気合が入ったわけでもないが、8:40くらいに到着す…
池袋三省堂での古本まつりは年に2回開催だったか。ともあれあの吹きっさらしの寒さの中を朝9時とかに並ぶ気力もなく、初日でなければ意味など皆無であろうと思われたが、都心へ出る用事ついでに冷かしのつもりで覗いて来た。 ①高見順『描写のうしろに寝てゐ…
金がない。私個人の事情をここに書いても詮無いのは言うまでもないが、金欠に拍車がかかっている今、本来ならば古本を購っている場合ではない。けれどもそこは腐ってもマニヤ、本を買わないことには精神の安寧が図れないのである。そうなれば削るは生活費と…
興味がなくなったかというと全くそうでもないのだが、ともかく古書展の初日に朝から列に加わろうという気概は、ここ半年くらいで完全に消え失せてしまった。ならばせめて初日の午後からでも足を運べばよさそうなものを、どうにも興が乗らずに2日目も昼頃にな…
今月、という実感すらなかったのだが、マドテンの日取りをすっかり忘れていた。なんと初日の金曜昼頃になってようやく思い至り、ああ、古書展ともずいぶん距離が空いてしまったなぁと痛感したことであった。 いい面ももちろんあって、12月度は現状かなり買っ…
吉祥寺は某ギャラリーにて、YOUCHAN氏の個展が開催された。氏の作品については以前も書いたが、タッチと色合いとの組み合わせが絶妙で、戦前の探偵小説などの雰囲気を見事に描き表しているのが特色だと私は感じている。 今回の展示は、前回別の場所で開かれ…
随分と久々にシュミテンへ足を運んだ。記憶では9月と5月は開催がなく。7月は行かなかったから、3月いらいとあってはなんと8か月ぶりのシュミテンである。といっても2日目の参戦であったから正直言うと大して買う心づもりはなかったが、豈図らんや、良品がま…
久々にフソウ事務所へ訪った。最後に行ったのは3月ごろだったろうか。ともかくここ数ヶ月は古書展のために神保町へ足を運ぶこともなく、界隈で私はおおよそ引退したものと思われているらしかった。 しかし重ねて言うことだが、本を買っていないということは…
ようやっとワクチンを接種した。といってまだ1回目なので、2回目を控えているのが面倒だが、副反応が一切なかったのはなんとなく拍子抜けである。 打った直後、もし腕が上がらなかったりとか倦怠感に苛まれたりするとしばらく厄介だなと思ったので、打ち終わ…
ここ数ヶ月はあまり高い本を買っていないのだが、その中でも一番嬉しかった収穫のひとつがこれである。 ●夏目漱石原著/アレキサンデル・スパン訳『独訳坊っちゃん』(共同出版社)大14年3月15日函帯 3010円 おなじみ「坊っちゃん」のドイツ語訳版である。目…
桜桃忌といえば太宰治の命日(正確には死体の上がった日)だが、数ある文学忌のなかでも多くのファンが史跡に詰め掛けることで有名である。 私は今までに2度、桜桃忌に禅林寺へ足を運んだが、そのどちらも人でごった返していた。中には墓石の目前で群衆に対…
梅雨に入ったのか入らないのか、いまいち判然としない日差しの中を歩くのはほんとうに大儀である。古書展はしばらく先までなさそうだが、美術館や博物館はそれなりに営業しているなか、どうも調子が取り戻せなくていけない。以前なら週に1度はどこかの展示を…
周知のとおり、古書展という古書展が中止の憂き目を見ている――もはやこれが古書日誌における枕となりつつあるのが逆説的に可笑しい――わけだが、言うまでもなく下等遊民たる私は、狂ったように本を買い繋いでいる。経済を回すためとの名目が立つのをよいこと…
宣言が出るとかでないとかいった点は、問題の本質ではないと思うのだが、表面的には博物館の休業や古書展の中止というかたちで、我々趣味人が暇を持て余すことになるのだからやりきれない。小市民にとってみれば、どだい詮方のないことである。 そういう状況…
もう2年くらい前であろうか、目録でフソウさんが「体調のこともあるので、今後は2ヶ月に1回くらいの発行にしようと思います」というような意味のことを書いていらした。が、私の記憶の限りでは、そのあとも毎月の発行は続き、もっというと臨時号もあるものだ…
1年前あたりのマドテンがすでに懐かしい。申し訳ないことではあるが、もう長いことこの古書展でハッスルしていないような気がする。 アキツが不在というのがまず大きく、近代文学の量が半減してしまったのは痛恨で、更に蝙蝠の時折見せるフィーバー状態も拝…
どうもこのごろ腰の調子が良くない。若い身空で何を、と思われる向きもあるだろうが、いわゆる腰痛というより坐骨神経痛を併発していて、そちらの痛みの方がしんどく感じられる。立ちっぱなしの労働にくわえ、趣味の世界では重たい本を抱えているのだからさ…
ナントカ宣言はまもなく解除と相成るらしいが、これが奏功するかと言うとあまり効果は期待できないし、そも宣言じたい、慣れきってしまった日本人にとってみればちょっとしたお小言に過ぎないのではないかという気もする。 そんな中にあって久々のシュミテン…
久々の古書展という心持である。西部や南部ではちょこちょこ開催されているらしいのだが、わざわざ足を運ぶ暇もモチベーションもなく、シュミテンとマドテンが中止となったために、今年に入ってから古書展の朝に並んだのはこの日が初であった。 しかし10時開…
更新頻度がかなり落ちてしまったが、本を買う速度は徹底的に加速している。2020年中に購入した冊数は1057冊となり、過去最高数を記録した。平均額が714円、中央値が110円であることからわかる通り、いい本をしっかりした値段で買うというよりも、安物ばかり…
ふと思い立って検索してみたら、練馬区立美術館で開催の「式場隆三郎展」の会期が終わりかけていると分かった。ゆめゆめ見逃せぬ展示とはわかっていながら、足を運ぶのが億劫でここまで先延ばしにしてしまった己の怠惰を嘆きつつ、それでもマドテンの1日目に…
シュミテンでは買いに買った。コレクターの先輩方や某通信編集長などにも「買うねぇ」と声をかけられつつ帰ったのだが、それはそれとしてフソウ事務所にも定期的に伺いたいというものである。 本を買うため、というよりも、サロン的な事務所に訪い、諸先輩方…
東京での感冒罹患者が増えに増えているなか、界隈ではシュミテンの開催が危ぶまれていた。この半年超の流れを見ていると、数日まえに急遽中止が決定、というのも決してありえない話ではないのである。 懸念を抱きつつも神保町へ赴くと、9時前だというのにす…
例年ならば古本まつりの時節である。ここ数年は朝一にS林堂のワゴンに詰め掛け、1戦終えた後は特選になだれ込み、あとから靖国のワゴンを冷かして廻るのがお決まりとなっていたわけだが、本年はかなり早い段階から中止が決まっていた。 すずらんのブックフェ…
古本仲間からのタレコミがあった。曰く、「フソウ事務所の棚が新しくなっていて、アレとかコレとか、良い本がリーズナブルな価格で出されている」というのだ。土曜日を休みにすることはどうにも叶わなかったが、それを聞いて尚足を運ばないのはコレクターの…
感冒下にあって2度目のシュミテンである。先週の例に倣い、休みを取らずに睡眠不足の体に鞭打って神保町へ向かう。早めに行って9時くらいに整理券を受け取ろうと思ったのだが、列が伸びるばかりでなかなか扉は開かなかった。前回ので効果がイマイチだったか…
うっかり休みを取り忘れたマドテン当日。ふと、休日でなくとも、早めに切り上げさえすれば仕事と仕事の合間を縫って神保町詣でが叶うのではないかと思い立った。ただでさえ下賤の身の上では日々のストレス甚だしく、古本で少しでも癒しておこうという算段で…
やりきれない暑さである。ふだんから夜型一辺倒の生活をしていることもあって、気温の高さというよりは瞳をあぶるような日差しの鋭さに参ってしまう。サングラスが欠かせないのはもちろんとしても、人のまばらな外を歩く間はマスクも取り外すようにした。熱…