紙の海にぞ溺るる

或は、分け入つても分け入つても本の山

書誌を拾う

休みを取らずとも仕事の合間に行けると気づいて久しい古書展初日だが、やはり2週続けてとなると体力的に厳しいものがある。日差しの強い中でならぶのも身に応えたし、特に今日など目の調子が悪く、見開いて棚を見てゆくのが大変に辛かった。 だからというと…

発見、二往復

残暑はさして厳しい感じがしないが、これはピーク時に35度を軽く超えていたのに精神が慣れただけのことだろうか。暑いと言えば暑いが、唸るほどではない。しかし9時20分くらいにマドテン会場へ赴くと、列はいつもより心持ち短いようであった。顔なじみのオジ…

猛暑の負け戦

台風が過ぎ、その影響なのか単に温暖化が進んでいるのかわからないが、本日も予報では35度の猛暑となっていた。ならば近年は長蛇の列が伸びることでおなじみの池袋三省堂の古本まつりも、あるいは「密」ならぬ「疎」が期待できようとゆっくり会場に向かった…

立ち上げ高円寺

西部古書会館はそちら方面での用事ついでに覗くていどで、朝から詰め掛けたことはこれまでに一度もなかった。神保町や五反田と違って、近代文学のしっかりしたところがあるというよりは、雑本の山から掘り出し物を漁っていくという感じが、ある程度の共通認…

梅雨の戻り

梅雨入りした実感もないまま梅雨明け宣言が出されて久しいが、東京は雨が続くようになった。35度とかいう狂った気温でないだけずいぶんマシではあるものの、古書展へ赴く身としては水濡れは絶対に避けなくてはいけないので心中穏やかでない。 で、雨だから人…

真夏日、神田から上野へ

都内の気温は30度をようよう超えだし、梅雨入りとはなんだったのかと訝るほどの好天であった。雨が降らないのは実にありがたいことであるが、暑いのは外出が億劫になって弱る。それでも気合を入れて外出を決め込み、ひとまずは神保町へ。滅多にゆかないグロ…

私小説一本釣り

マドテンである。あまり気合を入れてならぶ感じもしなかったので、9時半ごろゆったりと列に加わる。30人ほどか、最近の傾向からすると少なめの印象であった。 例によってアキツへ走る。どうもピンとこないが、あまり見ない鶴書房の童話などを抱えつつ右へ左…

粘り一戦

少し早めに神保町入りしたシュミテンであったが、9時前の段階ですでに15人は並んでいた。先輩方もいらしたのを幸いに、閑談しつつ開場を待つ。夏日の予報であったがこのくらいならまだ陽気としてはちょうどよいくらいか。 10時ジャストにオープンするやフソ…

資料漁り周遊

古本を山と買いだして丸5年くらいになるが、これまでは結句蒐集癖によるもので実用のために購ったことはほとんどなかった。それがここにきて、資料を集める必要が出て来てしまった。仕事というほど大層なものではないにせよ、古書展に足繁く通わなくてはなら…

雨の復帰戦

春めいた気候となり花粉も吹き荒れ出したかと思いきや、一転して寒の戻りが訪れた一日であった。久々に朝イチでシュミテンに並ぶことにしたのだが、折悪しく東京は雨模様。並ぶのは6月以来だろうか。無沙汰で気合が入ったわけでもないが、8:40くらいに到着す…

池袋へすごすごと、荷風を買う

池袋三省堂での古本まつりは年に2回開催だったか。ともあれあの吹きっさらしの寒さの中を朝9時とかに並ぶ気力もなく、初日でなければ意味など皆無であろうと思われたが、都心へ出る用事ついでに冷かしのつもりで覗いて来た。 ①高見順『描写のうしろに寝てゐ…

空腹の彷徨

金がない。私個人の事情をここに書いても詮無いのは言うまでもないが、金欠に拍車がかかっている今、本来ならば古本を購っている場合ではない。けれどもそこは腐ってもマニヤ、本を買わないことには精神の安寧が図れないのである。そうなれば削るは生活費と…

凪のシュミテン

興味がなくなったかというと全くそうでもないのだが、ともかく古書展の初日に朝から列に加わろうという気概は、ここ半年くらいで完全に消え失せてしまった。ならばせめて初日の午後からでも足を運べばよさそうなものを、どうにも興が乗らずに2日目も昼頃にな…

夏目漱石『鶉籠 虞美人草』

今月、という実感すらなかったのだが、マドテンの日取りをすっかり忘れていた。なんと初日の金曜昼頃になってようやく思い至り、ああ、古書展ともずいぶん距離が空いてしまったなぁと痛感したことであった。 いい面ももちろんあって、12月度は現状かなり買っ…

本の塔を廻る

吉祥寺は某ギャラリーにて、YOUCHAN氏の個展が開催された。氏の作品については以前も書いたが、タッチと色合いとの組み合わせが絶妙で、戦前の探偵小説などの雰囲気を見事に描き表しているのが特色だと私は感じている。 今回の展示は、前回別の場所で開かれ…

なまくら刀

随分と久々にシュミテンへ足を運んだ。記憶では9月と5月は開催がなく。7月は行かなかったから、3月いらいとあってはなんと8か月ぶりのシュミテンである。といっても2日目の参戦であったから正直言うと大して買う心づもりはなかったが、豈図らんや、良品がま…

引かれ者の小唄

久々にフソウ事務所へ訪った。最後に行ったのは3月ごろだったろうか。ともかくここ数ヶ月は古書展のために神保町へ足を運ぶこともなく、界隈で私はおおよそ引退したものと思われているらしかった。 しかし重ねて言うことだが、本を買っていないということは…

ワクチン後の均一

ようやっとワクチンを接種した。といってまだ1回目なので、2回目を控えているのが面倒だが、副反応が一切なかったのはなんとなく拍子抜けである。 打った直後、もし腕が上がらなかったりとか倦怠感に苛まれたりするとしばらく厄介だなと思ったので、打ち終わ…

漱石原著/アレキサンデル・スパン訳『独訳 坊っちゃん』

ここ数ヶ月はあまり高い本を買っていないのだが、その中でも一番嬉しかった収穫のひとつがこれである。 ●夏目漱石原著/アレキサンデル・スパン訳『独訳坊っちゃん』(共同出版社)大14年3月15日函帯 3010円 おなじみ「坊っちゃん」のドイツ語訳版である。目…

桜桃忌直前

桜桃忌といえば太宰治の命日(正確には死体の上がった日)だが、数ある文学忌のなかでも多くのファンが史跡に詰め掛けることで有名である。 私は今までに2度、桜桃忌に禅林寺へ足を運んだが、そのどちらも人でごった返していた。中には墓石の目前で群衆に対…

個展、道すがら童話を

梅雨に入ったのか入らないのか、いまいち判然としない日差しの中を歩くのはほんとうに大儀である。古書展はしばらく先までなさそうだが、美術館や博物館はそれなりに営業しているなか、どうも調子が取り戻せなくていけない。以前なら週に1度はどこかの展示を…

ネットで坊っちゃんほか

周知のとおり、古書展という古書展が中止の憂き目を見ている――もはやこれが古書日誌における枕となりつつあるのが逆説的に可笑しい――わけだが、言うまでもなく下等遊民たる私は、狂ったように本を買い繋いでいる。経済を回すためとの名目が立つのをよいこと…

横浜に滑り込む

宣言が出るとかでないとかいった点は、問題の本質ではないと思うのだが、表面的には博物館の休業や古書展の中止というかたちで、我々趣味人が暇を持て余すことになるのだからやりきれない。小市民にとってみれば、どだい詮方のないことである。 そういう状況…

嬉しい注文品、ほか

もう2年くらい前であろうか、目録でフソウさんが「体調のこともあるので、今後は2ヶ月に1回くらいの発行にしようと思います」というような意味のことを書いていらした。が、私の記憶の限りでは、そのあとも毎月の発行は続き、もっというと臨時号もあるものだ…

埋め草の古書展

1年前あたりのマドテンがすでに懐かしい。申し訳ないことではあるが、もう長いことこの古書展でハッスルしていないような気がする。 アキツが不在というのがまず大きく、近代文学の量が半減してしまったのは痛恨で、更に蝙蝠の時折見せるフィーバー状態も拝…

葉桜を横目に

どうもこのごろ腰の調子が良くない。若い身空で何を、と思われる向きもあるだろうが、いわゆる腰痛というより坐骨神経痛を併発していて、そちらの痛みの方がしんどく感じられる。立ちっぱなしの労働にくわえ、趣味の世界では重たい本を抱えているのだからさ…

宣言下の大収穫

ナントカ宣言はまもなく解除と相成るらしいが、これが奏功するかと言うとあまり効果は期待できないし、そも宣言じたい、慣れきってしまった日本人にとってみればちょっとしたお小言に過ぎないのではないかという気もする。 そんな中にあって久々のシュミテン…

池袋で雪岱を買う

久々の古書展という心持である。西部や南部ではちょこちょこ開催されているらしいのだが、わざわざ足を運ぶ暇もモチベーションもなく、シュミテンとマドテンが中止となったために、今年に入ってから古書展の朝に並んだのはこの日が初であった。 しかし10時開…

年始の注文品、数題

更新頻度がかなり落ちてしまったが、本を買う速度は徹底的に加速している。2020年中に購入した冊数は1057冊となり、過去最高数を記録した。平均額が714円、中央値が110円であることからわかる通り、いい本をしっかりした値段で買うというよりも、安物ばかり…

2包みの本と二笑亭

ふと思い立って検索してみたら、練馬区立美術館で開催の「式場隆三郎展」の会期が終わりかけていると分かった。ゆめゆめ見逃せぬ展示とはわかっていながら、足を運ぶのが億劫でここまで先延ばしにしてしまった己の怠惰を嘆きつつ、それでもマドテンの1日目に…