紙の海にぞ溺るる

或は、分け入つても分け入つても本の山

古書展

或るパンデミック間際

都内は混乱に満ちた。ここ2ヶ月のマスク不足、世界各国でのパンデミック及び医療崩壊を目の当たりにしてはいたが、されど認識としては対岸の火事でしかなかった。それが都内での「外出自粛要請」という形で、我々一般市民に影響してくることとなったのだから…

感冒流行下の収穫

マスク買い占めの第一波が訪れたのは1月末の事であったと記憶している。それから2ヶ月が経ってコロナウィルスの猛威は留まるところを知らず、むしろ物資不足が日常的な問題となりつつあるあたり、スペイン風邪の頃からの進歩を感じられない。未知のウィルス…

東横日和

東急東横の閉店が大々的に告知されたのがいつだったか、ともあれ記念の小展示やら思い出の募集やらにより、往年の渋谷利用者間でノスタルジックな盛り上がりを見せているようだ。 私は世代的に、百貨店の記憶はほとんど持ち合わせていない。幼少期などは連れ…

思いがけず探求書を

マドテンに朝から並ぶのは実に久々である。特選を抜きにすると半年以上の無沙汰ではないか。とはいえ、池袋でも随分買ったことだし、焦らず悠然たる足取りで9時40分すぎに列に加わる。ギリギリ最下層の最後尾からのスタート。 まずはいつものとおりにアキツ…

遅刻の池袋

池袋三省堂の古本まつりは、初版本蒐集を始めたころから行くようにしている催事のひとつで、行くたびになにかしら面白いものを拾えている印象である。それというのも、普段の店頭に近代の本を並べている印象のないニワトリが、やたらに近代のいい本を、それ…

明けて新年の収穫

図らずも久々の更新となった。 忙しい日々の中で、むろん古本だけは辛うじて買い繋いでいるものの、先月のマドテンも銀座松屋も欠席し、まだまだ古本者としては尻が青いことを露呈させるばかりの年末年始であった。 で、神保町それじたいは久々でもないが、…

冷たい雨を歩いて

シュミテン。しかし折悪しく雨であった。またようよう訪れた寒気が本格化しだしたところでもあり、寒いことこの上ない。 コーヒーを飲んで暖をとったのち9時半ジャストに到着すると、すでに列は開館の中に引き込まれていた。だからというわけでもないが、ふ…

南部から横浜

夜通し活動し、およそ酩酊に近い状態で迎える朝はいつものこと。しかしどうしても行きたい展覧会があるので、カフェインを過剰摂取の上、都心へ向かう。 ここで我が事ながら狂っていると思うのは、ちょうどユーコカイが開催されているから寄っておこうと途中…

風邪ひきのお祭り9日目

いちおう言っておくと、書痴のはしくれとして3日目の日曜にも古本まつりへは赴いている。飽きもせずにS林堂へ詰め掛け、『少年小説大系』の持っていない号をゴッソリと購い、さすがに持っては帰れぬと配送無料券の恩恵に浴することになった。 まあそれについ…

風邪ひきのお祭り2日目

2日目である。 去年であればS林堂の2日目に行って、急ぎ足にブックフェスティバルへ向かう、という順路を辿ったわけだが、今回は前日の雨によって青展は「初日」。やはり「2日目」よりも人は集中してくるのであった。 私はというと、早めの9時にワゴン前へ陣…

風邪ひきのお祭り1日目

古本まつりの時期である。 折悪しく喉をやってしまい、気管支やら洟やら、できれば外出は避けたいくらいの満身創痍の日々が続いていた。 また今年の初日は大雨。こと昼ごろの豪雨ときたら、先の台風もかくやと思い返すばかりの壮絶な降り方であった。 当然、…

朦朧の収穫

時間を切り売りしていくよりほかに生活を立てる術を持たない下等遊民とはいえ、さすがに余裕がなさすぎる感もある。今日のシュミテンに並ばぬわけにはいかなかったが、行きの電車ですでに眠気に襲われての参戦となった。 到着は9時20分くらいか。ざっと25人…

タイミングで幸運を掴む

マドテンである。 が、来週にはシュミテンも控えているし、今月はちょっと余裕もないため、思い切って初日に並ぶのはやめにした。下等遊民としては失格の烙印を押されてもゆめゆめ文句は言えぬ体たらくだ。 で、2日目の11時くらいに悠然と会場入りしたのであ…

このごろの均一

忙しさに拍車がかかり、といって何を目指しているわけでもなく、ただ盲目的に動き回っている日々である。 そんな毎日にあって、疲れをいやそうと思ったときに、よりどころとするのは古本であり古書店であり古書展なのだ。本の並びを眺めているだけで一時は疲…

雨の駆け出し

異変に気付いたのは最寄りの駅に着いた直後であった。 ふだん利用している京王線の某駅、改札からやけに長い列が伸びている。路線が1本しか通っていない小さな駅であるから、これは明らかに異常な光景だ。嫌な予感を胸に改札前へ向かってみると、果たして「…

笙印の旧蔵書

実に忙しい1週間を過ごした。 元より規則正しい生活など望むべくもない、下等なる遊民生活を送っているとはいえ、ここ数日はうまく眠る時間を確保できぬ日が続き、満身創痍の体であった。 それでもマドテンに行かない選択肢をとれば、後から省みて激しく後悔…

勘違いフライング

どういった思い違いなのか、自分でもよく分からないのだが、今日は朝の通勤ラッシュを心配せずに古書会館へ赴けるものという意識が働いていた。むろん、これは気のせいに過ぎず、中途半端な時刻に家を出てしまったが故に、堅実なるサラリーマンの方々と鮨詰…

悩み悩んで

春とは思えぬ凍てつきを見せている東京だが、桜は辛うじてその花弁を支えているようだ。葉桜まじりになりながらも、三段染めみたような輝く色彩は、満開のそれとはまた違った見どころがあるように思う。 なんて風流人ぶってみたが、実のところ朝からの寒さに…

無沙汰の突撃

久々のシュミテンである。ある筋からのタレコミによれば、今回のフソウさんの棚には著名な児童文学研究者の旧蔵書が並ぶとかいう話であったので、そんな好機はゆめゆめ見逃せぬとばかり、勇んで会場へ向かう。 しかし、この1週間マトモに睡眠をとれていなか…

花粉か眠気か

とうとう花粉の季節がやってきてしまった。ここ数日、どうにもうまく眠れなかったこともあって、花粉のためか眠気のためか判別のつかない目の違和感を抱えつつ、たまには気分を変えて高円寺へ赴く。 今日は愛好会の2日目。学生のとき以来だから、西部会館に…

リハビリがてら大物

ずいぶん久しぶりの神保町という心持である。前回のシュミテンに訪わず見送ったところ、今日も今日とて朝から並ぼうという気が起こらなかった。考えてみれば、この寒い中、待機時間はオジサンたちの列に加わって立ち続け、開場してはもみくちゃにされながら…

気が乗らなかった日

書架らしい書架を持たずに蒐集を開始してしまったため、ほとんど本を置くところがないまま漁書に励んでいる。本のためを思えば、むろん好ましい状況ではないし、精神的に参ってしまう環境でもある。 そんなわけで、いよいよ生活空間が逼迫していたからだろう…

大収穫祭

今日、11月23日は勤労感謝の日と呼ばれている。「感謝とか言ったってこちとら祝日も仕事だ」なんて人も少なくないだろうが、元は宮中祭祀の新嘗祭だそうだ。ともあれ下等なる遊民は暦の日付が赤かろうが白かろうが全く関係なく、徹夜明けの体で神保町へ向か…

古本ドラフト争奪戦

朝はどうにも動けなかったが、昼から古本まつりへ向かい、しつこくS林堂に詰め掛ける。もう単行本の補充はないとのことなのでちょうどよく、全体に思い切った値下げがなされていた。 ①高浜虚子『虚子句集』(植竹書林)大4年10月24日 500円 今まさに文アルで…

お祭り3日目

当初の予定では、今回の古本まつりへ詣でるのを2日間に限ることとしていた。それは休みの都合でもあったし、また自分の浪費を諫める意味でも、足繁く神保町通いをするのは避けようとしていたのだ。が、ちょっと約束ができたのを幸いとして、午前中だけ軽く覗…

お祭り1日目

年に一度の神田古本まつりである。ふだんは煤けたオジサンが徘徊する場所として知られる神保町も、この期間だけはなんとなく界隈が華やいで、若い本好きの姿も多くみられるから新鮮だ。 むろん古本者としては朝から赴かなくてはならない。当初の目当ては、ベ…

しんどいシュミテン

雨、となれば比較的すいているように思われたシュミテンだが、私自身が電車の遅延に巻き込まれてはどうしようもない。ふだん使わないバスを利用したことも相まって、会場入りはギリギリとなってしまった。荷物を預けてのち、列の後ろのほうへ並びなおす経験…

マドテン

雨で出足が鈍いかと期待していったのだが、そんなことはなかった。涼しいというから少ししっかり目な格好をしていったのも裏目に出、会場はひとが多いのもあって汗を滴らせることとなってしまった。 シュミテンではないから、という理由がどこまでの漁書家に…

ついでの収穫

所用で神保町へ行くと、この日はガラクタ市なる古書展が催されていた。半年に1回しか開催されない、レア度の高めな即売会である。近代文学の本がまずまず拾えるとは認識していたが、なかなか覗く機会がなく、今日が初参戦となった*1。 といっても2日目である…

出遅れのシュミテン

マドテンもさることながら、シュミテンにおける朝の混雑には辟易する。といって、私もその人混みの構成要員であるからして、天に唾を吐くのは止しておこう。 いつもより少し遅れて9時半すぎくらいに到着すると、ふだんなら会館前に蜷局を巻いているオジサマ…