紙の海にぞ溺るる

或は、分け入つても分け入つても本の山

古書店

本の塔を廻る

吉祥寺は某ギャラリーにて、YOUCHAN氏の個展が開催された。氏の作品については以前も書いたが、タッチと色合いとの組み合わせが絶妙で、戦前の探偵小説などの雰囲気を見事に描き表しているのが特色だと私は感じている。 今回の展示は、前回別の場所で開かれ…

引かれ者の小唄

久々にフソウ事務所へ訪った。最後に行ったのは3月ごろだったろうか。ともかくここ数ヶ月は古書展のために神保町へ足を運ぶこともなく、界隈で私はおおよそ引退したものと思われているらしかった。 しかし重ねて言うことだが、本を買っていないということは…

ワクチン後の均一

ようやっとワクチンを接種した。といってまだ1回目なので、2回目を控えているのが面倒だが、副反応が一切なかったのはなんとなく拍子抜けである。 打った直後、もし腕が上がらなかったりとか倦怠感に苛まれたりするとしばらく厄介だなと思ったので、打ち終わ…

桜桃忌直前

桜桃忌といえば太宰治の命日(正確には死体の上がった日)だが、数ある文学忌のなかでも多くのファンが史跡に詰め掛けることで有名である。 私は今までに2度、桜桃忌に禅林寺へ足を運んだが、そのどちらも人でごった返していた。中には墓石の目前で群衆に対…

個展、道すがら童話を

梅雨に入ったのか入らないのか、いまいち判然としない日差しの中を歩くのはほんとうに大儀である。古書展はしばらく先までなさそうだが、美術館や博物館はそれなりに営業しているなか、どうも調子が取り戻せなくていけない。以前なら週に1度はどこかの展示を…

ネットで坊っちゃんほか

周知のとおり、古書展という古書展が中止の憂き目を見ている――もはやこれが古書日誌における枕となりつつあるのが逆説的に可笑しい――わけだが、言うまでもなく下等遊民たる私は、狂ったように本を買い繋いでいる。経済を回すためとの名目が立つのをよいこと…

横浜に滑り込む

宣言が出るとかでないとかいった点は、問題の本質ではないと思うのだが、表面的には博物館の休業や古書展の中止というかたちで、我々趣味人が暇を持て余すことになるのだからやりきれない。小市民にとってみれば、どだい詮方のないことである。 そういう状況…

嬉しい注文品、ほか

もう2年くらい前であろうか、目録でフソウさんが「体調のこともあるので、今後は2ヶ月に1回くらいの発行にしようと思います」というような意味のことを書いていらした。が、私の記憶の限りでは、そのあとも毎月の発行は続き、もっというと臨時号もあるものだ…

葉桜を横目に

どうもこのごろ腰の調子が良くない。若い身空で何を、と思われる向きもあるだろうが、いわゆる腰痛というより坐骨神経痛を併発していて、そちらの痛みの方がしんどく感じられる。立ちっぱなしの労働にくわえ、趣味の世界では重たい本を抱えているのだからさ…

なおも2日目の収穫

シュミテンでは買いに買った。コレクターの先輩方や某通信編集長などにも「買うねぇ」と声をかけられつつ帰ったのだが、それはそれとしてフソウ事務所にも定期的に伺いたいというものである。 本を買うため、というよりも、サロン的な事務所に訪い、諸先輩方…

お慰み神保町

例年ならば古本まつりの時節である。ここ数年は朝一にS林堂のワゴンに詰め掛け、1戦終えた後は特選になだれ込み、あとから靖国のワゴンを冷かして廻るのがお決まりとなっていたわけだが、本年はかなり早い段階から中止が決まっていた。 すずらんのブックフェ…

夢を求めて神保町へ

古本仲間からのタレコミがあった。曰く、「フソウ事務所の棚が新しくなっていて、アレとかコレとか、良い本がリーズナブルな価格で出されている」というのだ。土曜日を休みにすることはどうにも叶わなかったが、それを聞いて尚足を運ばないのはコレクターの…

猛暑の彷徨

やりきれない暑さである。ふだんから夜型一辺倒の生活をしていることもあって、気温の高さというよりは瞳をあぶるような日差しの鋭さに参ってしまう。サングラスが欠かせないのはもちろんとしても、人のまばらな外を歩く間はマスクも取り外すようにした。熱…

巣籠り直前、およびその最中

業者市も自粛の憂き目を見、マドテンも中止となってしまった4月。歴戦の書痴たちの落胆たるや並大抵のものではない。 かくいう私も古書展の不足に日々嘆息を漏らしつつ、パンのための労働ばかりを続けている、――と言いたいところだが、実のところこの下らぬ…

風邪ひきのお祭り9日目

いちおう言っておくと、書痴のはしくれとして3日目の日曜にも古本まつりへは赴いている。飽きもせずにS林堂へ詰め掛け、『少年小説大系』の持っていない号をゴッソリと購い、さすがに持っては帰れぬと配送無料券の恩恵に浴することになった。 まあそれについ…

風邪ひきのお祭り2日目

2日目である。 去年であればS林堂の2日目に行って、急ぎ足にブックフェスティバルへ向かう、という順路を辿ったわけだが、今回は前日の雨によって青展は「初日」。やはり「2日目」よりも人は集中してくるのであった。 私はというと、早めの9時にワゴン前へ陣…

還元祭

キャッシュレスの時代である。私は現金でチマチマと支払いをするのが嫌いなので、常に3-4のカードなり支払い手段を持ち歩いていて、それを使い分ける形で日々の買い物を済ませている。 ところがどうにもキャッシュレスで対応できない支払いというものもいく…

タイミングで幸運を掴む

マドテンである。 が、来週にはシュミテンも控えているし、今月はちょっと余裕もないため、思い切って初日に並ぶのはやめにした。下等遊民としては失格の烙印を押されてもゆめゆめ文句は言えぬ体たらくだ。 で、2日目の11時くらいに悠然と会場入りしたのであ…

閑暇の葉月

まあ健康的と言えば健康的なことではあるのだが、8月はほとんど古本屋をめぐる暇がなかった。また目ぼしい即売会も見受けられなかったため、駆け出しのコレクターといえど少しくフラストレーションみたようなものがたまってしまう。 来月はシュミテンもマド…

このごろの均一

忙しさに拍車がかかり、といって何を目指しているわけでもなく、ただ盲目的に動き回っている日々である。 そんな毎日にあって、疲れをいやそうと思ったときに、よりどころとするのは古本であり古書店であり古書展なのだ。本の並びを眺めているだけで一時は疲…

圧倒的百均棚

フソウ事務所の百均棚の存在を知ったのは、某版道さんのツイートからであった。画像を見やると、とても均一棚のものとは思えぬ良書が整然と並んでいる。 このツイートを受けて悲鳴を上げたのは、第一には遠方のコレクターであり、第二には古本屋だ。某店の店…

近場をパトロール

三鷹駅近くに「輪転舎」がオープンしたのは先月末のことであった。さすがに中央線は古本屋が多く、またその固定ファンも多く生息している地域であるから、開店当日は書痴の面々でごった返したという話をブログやツイッター上で見た。 元はササマで働いていた…

花粉か眠気か

とうとう花粉の季節がやってきてしまった。ここ数日、どうにもうまく眠れなかったこともあって、花粉のためか眠気のためか判別のつかない目の違和感を抱えつつ、たまには気分を変えて高円寺へ赴く。 今日は愛好会の2日目。学生のとき以来だから、西部会館に…

復活の訪問

久しぶりにフソウ事務所へ行った。年が明けてからは初であるから、ずいぶんと無沙汰してしまったことになる。入るとすでに書痴の面々で賑わっていたが、「あれ、復活したの」と、すっかり引退したものと認識されていてちょっと恐縮したことであった。ともあ…

雪を避けつつ

夕方から雪の予報が見え隠れしており、となれば不要不急の外出は避けるというのが、凍結に不慣れな関東人にとっては賢明な判断であろう。しかしながら私こと下等遊民は、この頃の引きこもり生活にやうやう嫌気がさしつつあったので、ちょっと近文に出掛けて…

寒波の彷徨

このところ一切の意欲が減退しているから、休日であっても無目的的に街を徘徊するばかりで、非生産的であることこの上ない。そも満足な休みをとれていないということもあるが、爆買いで知られる(?)私が年明けからこの日まで本を買わなかったくらいなのだ…

年末の彷徨

前回のエントリで「どうにも気が乗らない」というような心情を書いたが、その鬱屈した状況から抜け出せずにいる。下等なる遊民である以上、多少の体力的な無理を強いられようとも、文化的な活動を控えてはならないと思う一方、気力がそれについていかないの…

100均周遊

忙しい、と偉そうなことをのたまえるようなヤンゴトナイ身分ではないのだが、貧乏暇なしとは正にその通りである。睡眠もそこそこに出掛け、文化的活動に興じたかと思いきや、その間隙を埋めるのはやはり本。 いちおうの目的は日本近代文学館である。今週まで…

市場で買ってもらった本など

もう2か月も前になってしまったが、遠路はるばる大阪まで出向いたのは、揃えている復刻のシリーズが販売されるためであった。漫画だから出た分についてはきちんとすべて読んでいるものの、貸本作家について詳しいというわけではなく、むしろ未知の作家と出会…

小江戸から深川

ここ数ヶ月の浪費がたたり、まさに爪に火をともさんばかりの節制生活を送っているのだが、どうしても行っておきたい特別展があったので川越へ。 川越市立美術館は、ちょっと前に小村雪岱の展示+講演会で訪うて以来である。広大な展示スペースを有しているわ…