紙の海にぞ溺るる

或は、分け入つても分け入つても本の山

2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

志賀直哉『暗夜行路』

恥ずかしながら、国語便覧に乗っているような名作でも未読のものはたくさんある。そのうち代表的なものが志賀直哉の『暗夜行路』で、その長さから「まあ読めなくても仕方ないのではないか」という無礼な気持ちを抱かぬでもないのだが、仮にも志賀直哉好きを…

武者小路実篤『無車詩集』

武者小路実篤の『無車詩集』自体はさして珍しい本ではない。元版の函付きだけでなく、ただ手に取りたいだけなら近代文学館の復刻も出されているため、入手は容易であろう。 と思っていたところ、この本に愛蔵版なる小数部――具体的には30部限定の愛蔵版が存在…

出遅れのシュミテン

マドテンもさることながら、シュミテンにおける朝の混雑には辟易する。といって、私もその人混みの構成要員であるからして、天に唾を吐くのは止しておこう。 いつもより少し遅れて9時半すぎくらいに到着すると、ふだんなら会館前に蜷局を巻いているオジサマ…

古書展の書き方

古書即売会*1には、だいたい月イチで通っている。実際、神保町の古書会館ではほぼ毎週開催されているのだが、私が必ず足を運ぶのはシュミテンとマドテンの2つだけだ。近代文学の蒐集をやるにはこの2展がおすすめ、と初めて聞いたのがどこだったか、いまとな…