紙の海にぞ溺るる

或は、分け入つても分け入つても本の山

2022-01-01から1年間の記事一覧

蹴球明けの寒空

4年に一度のスポーツの祭典で日本中が湧きたっている中、いっさい興味のない私は先だって復刻されたばかりの漫画を読みふけっていた。 それはそれとして、さすがに12月ともなると寒く、古書会館前の吹きっさらしで棒立ちして耐えるだけの体力もないので、マ…

安く漁る

今年最後のシュミテンである。9時20分くらいに到着し、先輩方としばし閑談。心持ち人数は少ないかと思ったが、10時直前になってどんどん伸びたから全部で50人から60人くらいがならんでいたろうか。残念ながら検温して荷物を預け次第の入場となっていたので順…

人が戻ったすずらん通り

お祭りの2日目である。朝、昨日と同じくらいの9時20分にS林堂へ行ってみると、やはりワゴン前は占拠されていた。さすがの人気店であるが、今日の棚に私の好むような黒っぽい純文学は見られない。ご主人にも「今日は稀覯本はないよ」と言われたので、それなら…

3年ぶりのお祭り

3年ぶりだという神田古本まつり、もうそんなに期間が空いてしまったのか、と気が遠くなる思いである。流行感冒はこうも容易く文化的活動を奪い取ってしまうのか。個人的に、この1年ばかりは速かったような濃密だったような、複雑な感じがする。古本における…

書誌を拾う

休みを取らずとも仕事の合間に行けると気づいて久しい古書展初日だが、やはり2週続けてとなると体力的に厳しいものがある。日差しの強い中でならぶのも身に応えたし、特に今日など目の調子が悪く、見開いて棚を見てゆくのが大変に辛かった。 だからというと…

発見、二往復

残暑はさして厳しい感じがしないが、これはピーク時に35度を軽く超えていたのに精神が慣れただけのことだろうか。暑いと言えば暑いが、唸るほどではない。しかし9時20分くらいにマドテン会場へ赴くと、列はいつもより心持ち短いようであった。顔なじみのオジ…

猛暑の負け戦

台風が過ぎ、その影響なのか単に温暖化が進んでいるのかわからないが、本日も予報では35度の猛暑となっていた。ならば近年は長蛇の列が伸びることでおなじみの池袋三省堂の古本まつりも、あるいは「密」ならぬ「疎」が期待できようとゆっくり会場に向かった…

立ち上げ高円寺

西部古書会館はそちら方面での用事ついでに覗くていどで、朝から詰め掛けたことはこれまでに一度もなかった。神保町や五反田と違って、近代文学のしっかりしたところがあるというよりは、雑本の山から掘り出し物を漁っていくという感じが、ある程度の共通認…

梅雨の戻り

梅雨入りした実感もないまま梅雨明け宣言が出されて久しいが、東京は雨が続くようになった。35度とかいう狂った気温でないだけずいぶんマシではあるものの、古書展へ赴く身としては水濡れは絶対に避けなくてはいけないので心中穏やかでない。 で、雨だから人…

真夏日、神田から上野へ

都内の気温は30度をようよう超えだし、梅雨入りとはなんだったのかと訝るほどの好天であった。雨が降らないのは実にありがたいことであるが、暑いのは外出が億劫になって弱る。それでも気合を入れて外出を決め込み、ひとまずは神保町へ。滅多にゆかないグロ…

私小説一本釣り

マドテンである。あまり気合を入れてならぶ感じもしなかったので、9時半ごろゆったりと列に加わる。30人ほどか、最近の傾向からすると少なめの印象であった。 例によってアキツへ走る。どうもピンとこないが、あまり見ない鶴書房の童話などを抱えつつ右へ左…

粘り一戦

少し早めに神保町入りしたシュミテンであったが、9時前の段階ですでに15人は並んでいた。先輩方もいらしたのを幸いに、閑談しつつ開場を待つ。夏日の予報であったがこのくらいならまだ陽気としてはちょうどよいくらいか。 10時ジャストにオープンするやフソ…

資料漁り周遊

古本を山と買いだして丸5年くらいになるが、これまでは結句蒐集癖によるもので実用のために購ったことはほとんどなかった。それがここにきて、資料を集める必要が出て来てしまった。仕事というほど大層なものではないにせよ、古書展に足繁く通わなくてはなら…

雨の復帰戦

春めいた気候となり花粉も吹き荒れ出したかと思いきや、一転して寒の戻りが訪れた一日であった。久々に朝イチでシュミテンに並ぶことにしたのだが、折悪しく東京は雨模様。並ぶのは6月以来だろうか。無沙汰で気合が入ったわけでもないが、8:40くらいに到着す…

池袋へすごすごと、荷風を買う

池袋三省堂での古本まつりは年に2回開催だったか。ともあれあの吹きっさらしの寒さの中を朝9時とかに並ぶ気力もなく、初日でなければ意味など皆無であろうと思われたが、都心へ出る用事ついでに冷かしのつもりで覗いて来た。 ①高見順『描写のうしろに寝てゐ…

空腹の彷徨

金がない。私個人の事情をここに書いても詮無いのは言うまでもないが、金欠に拍車がかかっている今、本来ならば古本を購っている場合ではない。けれどもそこは腐ってもマニヤ、本を買わないことには精神の安寧が図れないのである。そうなれば削るは生活費と…

凪のシュミテン

興味がなくなったかというと全くそうでもないのだが、ともかく古書展の初日に朝から列に加わろうという気概は、ここ半年くらいで完全に消え失せてしまった。ならばせめて初日の午後からでも足を運べばよさそうなものを、どうにも興が乗らずに2日目も昼頃にな…