紙の海にぞ溺るる

或は、分け入つても分け入つても本の山

2019-01-01から1年間の記事一覧

冷たい雨を歩いて

シュミテン。しかし折悪しく雨であった。またようよう訪れた寒気が本格化しだしたところでもあり、寒いことこの上ない。 コーヒーを飲んで暖をとったのち9時半ジャストに到着すると、すでに列は開館の中に引き込まれていた。だからというわけでもないが、ふ…

南部から横浜

夜通し活動し、およそ酩酊に近い状態で迎える朝はいつものこと。しかしどうしても行きたい展覧会があるので、カフェインを過剰摂取の上、都心へ向かう。 ここで我が事ながら狂っていると思うのは、ちょうどユーコカイが開催されているから寄っておこうと途中…

風邪ひきのお祭り9日目

いちおう言っておくと、書痴のはしくれとして3日目の日曜にも古本まつりへは赴いている。飽きもせずにS林堂へ詰め掛け、『少年小説大系』の持っていない号をゴッソリと購い、さすがに持っては帰れぬと配送無料券の恩恵に浴することになった。 まあそれについ…

風邪ひきのお祭り2日目

2日目である。 去年であればS林堂の2日目に行って、急ぎ足にブックフェスティバルへ向かう、という順路を辿ったわけだが、今回は前日の雨によって青展は「初日」。やはり「2日目」よりも人は集中してくるのであった。 私はというと、早めの9時にワゴン前へ陣…

風邪ひきのお祭り1日目

古本まつりの時期である。 折悪しく喉をやってしまい、気管支やら洟やら、できれば外出は避けたいくらいの満身創痍の日々が続いていた。 また今年の初日は大雨。こと昼ごろの豪雨ときたら、先の台風もかくやと思い返すばかりの壮絶な降り方であった。 当然、…

還元祭

キャッシュレスの時代である。私は現金でチマチマと支払いをするのが嫌いなので、常に3-4のカードなり支払い手段を持ち歩いていて、それを使い分ける形で日々の買い物を済ませている。 ところがどうにもキャッシュレスで対応できない支払いというものもいく…

蝸牛露伴(幸田露伴)『葉末集』

シュミテンの2日目に行った。初日で大収穫=大散財を経験し、もはや落ち穂すら拾うだけの余裕を持ち合わせてはいなかったのだが、通りかかっては寄らなければ末代までの名折れである。 2日目の列は如何ほどかと会場5分前の古書会館を見てみると、なんと待機…

朦朧の収穫

時間を切り売りしていくよりほかに生活を立てる術を持たない下等遊民とはいえ、さすがに余裕がなさすぎる感もある。今日のシュミテンに並ばぬわけにはいかなかったが、行きの電車ですでに眠気に襲われての参戦となった。 到着は9時20分くらいか。ざっと25人…

タイミングで幸運を掴む

マドテンである。 が、来週にはシュミテンも控えているし、今月はちょっと余裕もないため、思い切って初日に並ぶのはやめにした。下等遊民としては失格の烙印を押されてもゆめゆめ文句は言えぬ体たらくだ。 で、2日目の11時くらいに悠然と会場入りしたのであ…

閑暇の葉月

まあ健康的と言えば健康的なことではあるのだが、8月はほとんど古本屋をめぐる暇がなかった。また目ぼしい即売会も見受けられなかったため、駆け出しのコレクターといえど少しくフラストレーションみたようなものがたまってしまう。 来月はシュミテンもマド…

7月の後悔

なかなか熱気の訪れない7月であった。七夕古書入札会とかシュミテンとかの恒例行事に加え、池袋にも行ったものだから、散財に次ぐ散財である*1。 そんな中にあって、実は7月冒頭、ネットに相次いで良品が出品された。どちらも近代文学コレクターの端くれとし…

このごろの均一

忙しさに拍車がかかり、といって何を目指しているわけでもなく、ただ盲目的に動き回っている日々である。 そんな毎日にあって、疲れをいやそうと思ったときに、よりどころとするのは古本であり古書店であり古書展なのだ。本の並びを眺めているだけで一時は疲…

雨の駆け出し

異変に気付いたのは最寄りの駅に着いた直後であった。 ふだん利用している京王線の某駅、改札からやけに長い列が伸びている。路線が1本しか通っていない小さな駅であるから、これは明らかに異常な光景だ。嫌な予感を胸に改札前へ向かってみると、果たして「…

笙印の旧蔵書

実に忙しい1週間を過ごした。 元より規則正しい生活など望むべくもない、下等なる遊民生活を送っているとはいえ、ここ数日はうまく眠る時間を確保できぬ日が続き、満身創痍の体であった。 それでもマドテンに行かない選択肢をとれば、後から省みて激しく後悔…

勘違いフライング

どういった思い違いなのか、自分でもよく分からないのだが、今日は朝の通勤ラッシュを心配せずに古書会館へ赴けるものという意識が働いていた。むろん、これは気のせいに過ぎず、中途半端な時刻に家を出てしまったが故に、堅実なるサラリーマンの方々と鮨詰…

圧倒的百均棚

フソウ事務所の百均棚の存在を知ったのは、某版道さんのツイートからであった。画像を見やると、とても均一棚のものとは思えぬ良書が整然と並んでいる。 このツイートを受けて悲鳴を上げたのは、第一には遠方のコレクターであり、第二には古本屋だ。某店の店…

古本蒐集の始まり

GWはあまり本を買えそうにないので、筆の向くままに思い出を書いてみたい。若い蒐集家の記録として、集めだしは語るべき大切なポイントであろうが、なにしろ記憶が曖昧なので、一切の価値が期待できないことをここに断言しておく。 * * * * 初版本蒐集家…

近場をパトロール

三鷹駅近くに「輪転舎」がオープンしたのは先月末のことであった。さすがに中央線は古本屋が多く、またその固定ファンも多く生息している地域であるから、開店当日は書痴の面々でごった返したという話をブログやツイッター上で見た。 元はササマで働いていた…

悩み悩んで

春とは思えぬ凍てつきを見せている東京だが、桜は辛うじてその花弁を支えているようだ。葉桜まじりになりながらも、三段染めみたような輝く色彩は、満開のそれとはまた違った見どころがあるように思う。 なんて風流人ぶってみたが、実のところ朝からの寒さに…

無沙汰の突撃

久々のシュミテンである。ある筋からのタレコミによれば、今回のフソウさんの棚には著名な児童文学研究者の旧蔵書が並ぶとかいう話であったので、そんな好機はゆめゆめ見逃せぬとばかり、勇んで会場へ向かう。 しかし、この1週間マトモに睡眠をとれていなか…

花粉か眠気か

とうとう花粉の季節がやってきてしまった。ここ数日、どうにもうまく眠れなかったこともあって、花粉のためか眠気のためか判別のつかない目の違和感を抱えつつ、たまには気分を変えて高円寺へ赴く。 今日は愛好会の2日目。学生のとき以来だから、西部会館に…

復活の訪問

久しぶりにフソウ事務所へ行った。年が明けてからは初であるから、ずいぶんと無沙汰してしまったことになる。入るとすでに書痴の面々で賑わっていたが、「あれ、復活したの」と、すっかり引退したものと認識されていてちょっと恐縮したことであった。ともあ…

リハビリがてら大物

ずいぶん久しぶりの神保町という心持である。前回のシュミテンに訪わず見送ったところ、今日も今日とて朝から並ぼうという気が起こらなかった。考えてみれば、この寒い中、待機時間はオジサンたちの列に加わって立ち続け、開場してはもみくちゃにされながら…

厚着本あれこれ

池袋での古本まつりを初めて覗いたのは2年ほど前のことだったろうか。たまたまその方面に用事があり、何気なく会場に足を運んだのだった。その頃はまだ蒐集歴も浅く、漱石のイタミ本を安く拾えて嬉しかった記憶がある。 以降欠かさず並ぶようにし、そのたび…

雪を避けつつ

夕方から雪の予報が見え隠れしており、となれば不要不急の外出は避けるというのが、凍結に不慣れな関東人にとっては賢明な判断であろう。しかしながら私こと下等遊民は、この頃の引きこもり生活にやうやう嫌気がさしつつあったので、ちょっと近文に出掛けて…

欠席の口上

近代文学を蒐集している書痴にとって、今日のシュミテンが実質的な新年の幕開けだったのではないか。12月のマドテンから1ヶ月しか開いていないわけだけれども、年末年始はごたごたするものだから、何となく体感として久方ぶりの古書展という感じがする。 し…

寒波の彷徨

このところ一切の意欲が減退しているから、休日であっても無目的的に街を徘徊するばかりで、非生産的であることこの上ない。そも満足な休みをとれていないということもあるが、爆買いで知られる(?)私が年明けからこの日まで本を買わなかったくらいなのだ…

量の年から質の年へ

下等遊民たる私にも、他の方と同様に新年が来た。といって暦とは一切関係を断った生活をしているため、感慨らしい感慨はないのだが、まあ区切れでもあるしと2018年で買った本のリストを整理している。 昨年の7月に、「上半期の5冊」と題して特に優れた収穫を…